『納戸』と建築基準法

営業の長田です。今回は『納戸』のお話しをしたいと思います。

新築マンションや中古マンションの広告を見ていると、部屋名によく『納戸』と表記されているのを見かけます。間取りで3LDK+N、または3LDK+S などと記載されますが、Nは納戸の頭文字。Sはサービスルームの頭文字です。Nという表記もSという表記も両方とも納戸を意味するのですが、この『納戸』というのはもともと平安時代の宮中にあった『納殿(おさめどの)』が起源と言われており、『納殿』には金銭や衣装や調度品などが納められていたようで、身分の高い人の家にしかなかった部屋です。

『納戸』と言うと、一般的には中に人が入って歩き回れる収納スペースを意味し、押入や物入と区別します。洋風に言えば『ウォークインクロゼット』のことですね。納戸1

でもマンションの広告でよく見かけるのは、普通の洋室と思われるのに『納戸』又は『サービスルーム』などと表記された部屋です。では何故『洋室』と表記しないで『納戸』や『サービスルーム』と表記するのでしょうか?それは建築基準法に多いに関係があります。『洋室』は建築基準法でいう居室に該当するのですが、この居室になってしまうと、床面積の1/7の採光がとれる窓が要求されます。南向きのベランダ側の窓は大きく取れるため南側のお部屋はすべて居室とすることができるのですが、北側(廊下側)などに面するお部屋は、いろいろな制約があり、1/7の有効開口を満足できる窓が設置出来ない場合が多々あります。このとき便利なのが『納戸』という表記なのです。『納戸』と表記することによって、合法に部屋として成立させることができるのです。あくまでも設計上のことなので、ユーザーとしては『物入』としてでなく、子供部屋や寝室で使うことができますが・・

また屋根裏収納やロフトといったスペースも天井高さが低くて使いにくいと思われている方が多いでしょうが、これも建築基準法の床面積や階数に参入されないようにした結果ですね。

何も規制がないと無秩序に建設されてしまう建物に制限をかける建築基準法ですが、昭和25年納戸2に公布されています。たびたび改正が行われ、マイナーチェンジはされてはいるものの、地価の高い都会でも、もう少しフレキシブルに対応できるような、現代にマッチした法律になるよう改正されるといいですね~。